2017.09.29 Friday
2010.01.31 Sunday
ポール・バーホーベン『ブラックブック』
実家のケーブルテレビでやっていたのでうっかり拝見。みんな大好きSF映画の金字塔『トータルリコール』や『ロボコップ』、そしてあの傑作『スターシップ・トゥルーパーズ』の監督です。『インビジブル』でハリウッドに嫌気がさしてオランダに帰ったと聞いていたのですが。
オランダで撮ってましたね。
すごい映画を。
第二次大戦中のオランダを舞台に過酷な運命に翻弄されるユダヤ人の女性が主人公。重厚な歴史大作のはずなのに突如繰り出されるくだらない下ネタ。今回特に面白かったのは毛を剃るシーンと、シーツが盛り上がるところ。もう笑うしかないですね。タイトルにもなっているブラックブックという重要なはずの仕掛は終盤までおいてきぼりです。
でも一応最後まできっちり撮り上げているあたりがまた謎で。
本当に何なんですかねえこの人は。
とにかく見応えのある面白い映画であることは間違いないです。
2010.01.17 Sunday
2009年 映画ベスト5
さて、年も明けたところで2009年に僕が見た映画のベスト5を発表してみる。
1、チェンジリング(クリント・イーストウッド)
2、グラントリノ(クリント・イーストウッド)
3、サブウェイ123(トニー・スコット)
4、スペル(サム・ライミ)
5、イングロリアル・バスターズ(クエンティン・タランティーノ)
1位2位は今生存している中で最強の映画監督の作品。ゆるぎない。甲乙つけがたかったが得体の知れなさで『チェンジリング』を1位に。何だか見てはいけない凄まじいものを見てしまったような気がした。
『グラントリノ』はユーモアのセンスが半端ない。ショットガンをかまえて「芝生に入るな」など爆笑の連続。主人公の造形や傷のテーマなど過去のイーストウッド作品との関係を考えるとより面白い。
3位の『サブウェイ123』はとても気合いの入ったアクション映画。『エネミーオブアメリカ』以来、秀作を連発してきたトニスコの最高傑作だと思う。本当にお勧め。
4位の『スペル』は最高に怖くて気持ちの悪い映画。いろんなものがドバドバ出る。痛快。
5位の『イングロリアル・バスターズ』は最高に悪趣味な映画。でも面白いのはタランティーの演出に粘りが出てきたからか。
こうしてみると今やはりアメリカ映画が充実している。
まあ年間30本くらいしか映画館で見ないのであまりあてにはなりませんが参考までに。
ちなみに昨年DVDで見た中で一番面白かったのはヴェス・アンダーソンの『天才マックスの世界』。アイデア満載のとてもわくわくする映画。ビル・マーレイがいい仕事をしている。新作が待ち遠しいです。
1、チェンジリング(クリント・イーストウッド)
2、グラントリノ(クリント・イーストウッド)
3、サブウェイ123(トニー・スコット)
4、スペル(サム・ライミ)
5、イングロリアル・バスターズ(クエンティン・タランティーノ)
1位2位は今生存している中で最強の映画監督の作品。ゆるぎない。甲乙つけがたかったが得体の知れなさで『チェンジリング』を1位に。何だか見てはいけない凄まじいものを見てしまったような気がした。
『グラントリノ』はユーモアのセンスが半端ない。ショットガンをかまえて「芝生に入るな」など爆笑の連続。主人公の造形や傷のテーマなど過去のイーストウッド作品との関係を考えるとより面白い。
3位の『サブウェイ123』はとても気合いの入ったアクション映画。『エネミーオブアメリカ』以来、秀作を連発してきたトニスコの最高傑作だと思う。本当にお勧め。
4位の『スペル』は最高に怖くて気持ちの悪い映画。いろんなものがドバドバ出る。痛快。
5位の『イングロリアル・バスターズ』は最高に悪趣味な映画。でも面白いのはタランティーの演出に粘りが出てきたからか。
こうしてみると今やはりアメリカ映画が充実している。
まあ年間30本くらいしか映画館で見ないのであまりあてにはなりませんが参考までに。
ちなみに昨年DVDで見た中で一番面白かったのはヴェス・アンダーソンの『天才マックスの世界』。アイデア満載のとてもわくわくする映画。ビル・マーレイがいい仕事をしている。新作が待ち遠しいです。
2009.05.07 Thursday
クリント・イーストウッド『グラン・トリノ』
JUGEMテーマ:映画
ネタバレ注意です。イーストウッド最後の監督兼主演作品になるかもしれないとのことで馳せ参じてきました。
当然ながら高い前評判を裏切らない凄い映画でした。
まあ僕はミーハなのでイーストウッドが険しい顔をする度に笑ってしまうし、老いぼれた様子でポーチに座っているだけで泣けてくるのですが。
主人公の造型も過去の作品『ハートブレイク・リッジ』のハイウェイ軍曹や『ミリオンダラー・ベイビー』の老トレーナー、『ガントレット』のバスを彷彿とさせて面白い。
逆にラストシーンは今までなら確実に皆殺しにしていたところ(イーストウッドを怒らせたらとんでもないことになる。『許されざる者』『ペイルライダー』参照)意外な結末。
ただ自己犠牲とか武士道などという解釈は危うい。
これはもう少し検討するべきか。
タイトルにもなっているグラン・トリノにイーストウッド自身は作中一度も乗らないストイックさはさすが。
その分、ラストのあの一瞬が感動的。
それはさておきこの映画、本当に評判がいい。
アメリカでもヒットしたみたいだし、日本でもそこそこヒットすると思う。
それでイーストウッドが潤い一本でも多くの作品を世に残してくれるのならまあいいんだけど。
ただ主人公のウォルトが悩める今のアメリカの象徴であるとかそういう解釈は何だかなあ。
例えばA氏風に、ド変態の映画的マゾヒストであるイーストウッド、隣の娘が傷だらけにされたのに嫉妬し、素手でガラスを叩き割り拳を痛めるも飽きたらず、『ガントレット』のバスのように蜂の巣になり満足そうに果てる、という解釈はどうか?
ちょっと不謹慎か。
ちなみにパンフレットには蓮實重彦氏が寄稿されてます。
おかげで何か違和感のあった二度目に音楽が流れるシーンの謎が解けました。
興味のある人は是非。
2009.03.02 Monday
クリント・イーストウッド『チェンジリング』
JUGEMテーマ:映画
久しぶりの更新。映画の話題です。
先日、大好きなクリント・イーストウッド監督の新作『チェンジリング』を見に行ったのですが、圧倒的な仕上がりにただひたすら打ちのめされて帰ってきました。
ぐうの音も出ません。
間違いなく今年度ベストワンであろう映画です。
より映画を楽しむため過去のイーストウッド監督作品『ペイルライダー』『ハートブレイクリッジ』『ブロンコビリー』を見直してから行ったのですが、この三作品も間違いなく素晴らしいもっと評価されてもいい映画だと確信を深めつつも、『チェンジリング』は更に別次元の最強の映画でありました。
過酷な運命に翻弄されるアンジェリナ・ジョリーの凄まじい顔。
精神病院、絞首刑の描写。
窓から差し込む光。
ああ、もう猪口才なことは書くべきではないですね。
とにかく皆さん見に行ってください。
人生損してますよ。
あ、あとパンフレットに黒沢清監督が寄稿されてます。
お好きな人は是非買ってみてください。
2008.09.08 Monday
『デトロイト・メタル・シティ』
2008.08.20 Wednesday
M・ナイト・シャマラン『ハプニング』
待ちに待ったシャマランの新作『ハプニング』を見に行った。
というわけで以下ネタばれ注意。
これはかなりの傑作だと思う。
ただし『シックスセンス』のようなオチやどんでん返しをし期待してはいけない。
人々が見えない何かに攻撃されバタバタと死んでいく。
主人公たちはその攻撃の兆候に怯えながらひらすら逃げまどう。
ヒッチコックの『鳥』やスピルバーグの『宇宙戦争』と同じ形式の映画だ。
とにかく演出が冴えわたっている。
風になぶられる草や布。
思わず目を背けたくなる爽快な残酷描写。
主人公と妻、少女の微妙な関係性の変化もちょっとしたカットで見せきっている。
特にいいなと思ったのは四つ辻に追いつめられた主人公が道ばたにうなだれて座っているところに少女が歩み寄るシーン。
ここだけで映画館に足を運んだかいがあったと思うくらいに素晴らしかった。
ちなみに撮影はタク・フジモト。
さすがだ。
後半に登場する一人暮らしの老婆も最高に怖い。
よくあんな婆さんを見つけてきたものだ。
最後に主人公が妻と少女と離ればなれになる設定など脚本も練り込まれている。
度々登場する触れることに対する言及や、前作『レディ〜』においてプールやブライス・ダラス・ハワードが担っていた役割を今回は何が引き受けているのか、などまだまだ考えなければならない部分も多い。
近いうちにもう一度見てみたい作品だ。
みなさんにもお勧めしたいところですががグロ描写満載なのでそれだけは注意して下さい。
というわけで以下ネタばれ注意。
これはかなりの傑作だと思う。
ただし『シックスセンス』のようなオチやどんでん返しをし期待してはいけない。
人々が見えない何かに攻撃されバタバタと死んでいく。
主人公たちはその攻撃の兆候に怯えながらひらすら逃げまどう。
ヒッチコックの『鳥』やスピルバーグの『宇宙戦争』と同じ形式の映画だ。
とにかく演出が冴えわたっている。
風になぶられる草や布。
思わず目を背けたくなる爽快な残酷描写。
主人公と妻、少女の微妙な関係性の変化もちょっとしたカットで見せきっている。
特にいいなと思ったのは四つ辻に追いつめられた主人公が道ばたにうなだれて座っているところに少女が歩み寄るシーン。
ここだけで映画館に足を運んだかいがあったと思うくらいに素晴らしかった。
ちなみに撮影はタク・フジモト。
さすがだ。
後半に登場する一人暮らしの老婆も最高に怖い。
よくあんな婆さんを見つけてきたものだ。
最後に主人公が妻と少女と離ればなれになる設定など脚本も練り込まれている。
度々登場する触れることに対する言及や、前作『レディ〜』においてプールやブライス・ダラス・ハワードが担っていた役割を今回は何が引き受けているのか、などまだまだ考えなければならない部分も多い。
近いうちにもう一度見てみたい作品だ。
みなさんにもお勧めしたいところですががグロ描写満載なのでそれだけは注意して下さい。
JUGEMテーマ:映画
2008.04.15 Tuesday
コーエン兄弟『ノーカントリー』
以下、ネタばれ注意。
とにかく関係者が殺人鬼に殺されていく。
それを見届けるだけの映画。
殺人鬼の使う特殊な武器の発射音、吹き飛ぶ人や物が陰惨にして爽快。確かに今まで見てきたコーエン兄弟の作品の中では一番退屈しなかった。逃亡者と追跡者の距離の伸縮は単純だがやはりスリリングだ。
しかし今一つ乗り切れないのは何故だろう。
「幽霊のような存在」という台詞にイーストウッドを連想した。いや考えすぎか。そういえばモスも殺人鬼も執拗に痛めつけられ生々しい傷口を晒す。殺人鬼が足に受けた銃弾をほじくり出すシーンは一番の見どころかも知れない。
見て損はない映画ではある。
コメントれす↓
横田様
僕の家では椎茸はこの大きさがデフォです。
スーパーで売ってる椎茸なんてありゃ赤ちゃんみたいなもんですよ。
とにかく関係者が殺人鬼に殺されていく。
それを見届けるだけの映画。
殺人鬼の使う特殊な武器の発射音、吹き飛ぶ人や物が陰惨にして爽快。確かに今まで見てきたコーエン兄弟の作品の中では一番退屈しなかった。逃亡者と追跡者の距離の伸縮は単純だがやはりスリリングだ。
しかし今一つ乗り切れないのは何故だろう。
「幽霊のような存在」という台詞にイーストウッドを連想した。いや考えすぎか。そういえばモスも殺人鬼も執拗に痛めつけられ生々しい傷口を晒す。殺人鬼が足に受けた銃弾をほじくり出すシーンは一番の見どころかも知れない。
見て損はない映画ではある。
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横田様
僕の家では椎茸はこの大きさがデフォです。
スーパーで売ってる椎茸なんてありゃ赤ちゃんみたいなもんですよ。
2008.03.28 Friday
ウェス・アンダーソン『ダージリン急行』
念願のウェス・アンダーソン監督の新作『ダージリン急行』を見に行った。
素晴らしい。素晴らしすぎる映画だ。走り出した列車に飛び乗るだけなのに何であんなに感動的なんだろう。何だあの高速度撮影。何故か泣けてくる。やっぱり映画は物語じゃない。気合の入ったカットをいかに撮るかだと思う。細かい説明は不要だ。ぜひ皆さんも見に行ってください。とても清々しい気持ちになれますよ。
音楽も素晴らしい。サントラが欲しい。
↓
公式サイト
http://microsites2.foxinternational.com/jp/darjeeling/
素晴らしい。素晴らしすぎる映画だ。走り出した列車に飛び乗るだけなのに何であんなに感動的なんだろう。何だあの高速度撮影。何故か泣けてくる。やっぱり映画は物語じゃない。気合の入ったカットをいかに撮るかだと思う。細かい説明は不要だ。ぜひ皆さんも見に行ってください。とても清々しい気持ちになれますよ。
音楽も素晴らしい。サントラが欲しい。
↓
公式サイト
http://microsites2.foxinternational.com/jp/darjeeling/
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2008.03.17 Monday
クリント・イーストウッド『ガントレット』
アクション映画を見たくなりクリント・イーストウッド監督・主演『ガントレット』を借りてきた。
家、パトカー、バス、とにかく何でも穴だらけにしないと気が済まない異様な映画だ。何かが過度に痛めつけられることにこだわるイーストウッドらしい演出。そもそも『ガントレット』というタイトルは両側に並んだ武装した人々の間を打ち据えられながら通り抜ける刑罰に由来しているらしい。見事通り抜けた人間は罪を赦される。この逸話を踏まえるとラストは更に胸を打つ。
面白いのがイーストウッド演ずる主人公の刑事は作品中とにかくひっきりなしに銃撃されるにもかかわらず、自身は威嚇することはあっても決して人に向かって発砲しない点だ。ただ証人を護送することに徹する。感動的なまでにストイックだ。
主人公とヒロインの関係性の変化を丁寧に描くなどドラマの部分も充実している。
77年に製作された映画で、僕の大好きな同監督の比較的最近の作品『目撃』や『ブラッド・ワーク』にみなぎる堪らないスタイリッシュさはまだ感じられなかったが(イーストウッドの顔がまだ若くてシワが少ないのも一因かもしれない)、また異なる無骨で地道な魅力がそこにはあった。
家、パトカー、バス、とにかく何でも穴だらけにしないと気が済まない異様な映画だ。何かが過度に痛めつけられることにこだわるイーストウッドらしい演出。そもそも『ガントレット』というタイトルは両側に並んだ武装した人々の間を打ち据えられながら通り抜ける刑罰に由来しているらしい。見事通り抜けた人間は罪を赦される。この逸話を踏まえるとラストは更に胸を打つ。
面白いのがイーストウッド演ずる主人公の刑事は作品中とにかくひっきりなしに銃撃されるにもかかわらず、自身は威嚇することはあっても決して人に向かって発砲しない点だ。ただ証人を護送することに徹する。感動的なまでにストイックだ。
主人公とヒロインの関係性の変化を丁寧に描くなどドラマの部分も充実している。
77年に製作された映画で、僕の大好きな同監督の比較的最近の作品『目撃』や『ブラッド・ワーク』にみなぎる堪らないスタイリッシュさはまだ感じられなかったが(イーストウッドの顔がまだ若くてシワが少ないのも一因かもしれない)、また異なる無骨で地道な魅力がそこにはあった。
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2008.03.10 Monday
青山真治『レイクサイド マーダーケース』
いろいろ一段落したので映画を見たくなった。今上演中の映画にはめぼしいものがないので(来週から公開の『ダージリン急行』は必見)TSUTAYAへ。前から見たかった『レイクサイド マーダーケース』を借りてきた。以下ネタバレ注意です。
一応はミステリーということなのだろうけど、そんなジャンル分けに収まらない要素がたっぷり入った豊かな作品だ。ブラックユーモアあり、ホラーテイストあり。見る人によってはいろいろ盛り込みすぎで消化不良に思えるかもしれないが僕にはそれが楽しかった。最後なんか唖然とする他ないし。
あと触れておかなければならないのは豪華な俳優陣。特に役所広司と薬師丸ひろ子の夫婦の芝居をやたら丹念に撮っている。それがよかった。俳優に賭けた部分が多分にあったのかもしれない。江本明、豊川悦司も不気味で面白かった。
一番好きなシーンは無口な子供たちがぞろぞろ並んで歩くことろ。あれはどう考えても『光る目』だと思う。
一応はミステリーということなのだろうけど、そんなジャンル分けに収まらない要素がたっぷり入った豊かな作品だ。ブラックユーモアあり、ホラーテイストあり。見る人によってはいろいろ盛り込みすぎで消化不良に思えるかもしれないが僕にはそれが楽しかった。最後なんか唖然とする他ないし。
あと触れておかなければならないのは豪華な俳優陣。特に役所広司と薬師丸ひろ子の夫婦の芝居をやたら丹念に撮っている。それがよかった。俳優に賭けた部分が多分にあったのかもしれない。江本明、豊川悦司も不気味で面白かった。
一番好きなシーンは無口な子供たちがぞろぞろ並んで歩くことろ。あれはどう考えても『光る目』だと思う。